『 Creature 』 Stage Works

  • プロデュース


    ● 企画:旗揚げ公演 ...

    旗揚げ公演と言う事、そして木田が以前演出を務めていた「STAGE SPIRITS」の名前を使わずに観客を集めると言う考え、 「新しく団体を創るからには余所がやれない事をやらなければ意味が無い」と言う考えからも、 可能な限り『Z・A』を知ってもらう為、TicketFree(無料公演)形式を取る。

    本公演でのTicketFree形式はこの公演のみである。(2008 年6月現在)



    ● 会場:アイセル21(静岡市) ...

    この当時『Z・A』は静岡市内での公演にこだわっていた為(静岡市の方が観客を集めやすいと思っていた)、
    『Z・A』以前の劇団等で数回利用した事のある「アイセル21」を使用。
    舞台裏での上下(かみしも)の移動が不可能な所が難点だが、小規模な公演だけれどもしっかりとしたステージでやりたいと言う当時の『Z・A』にはちょうど良かった様に思う。



    ●受付 ...

    旗揚げ当初からの木田の考え方として「公演に携わる全ての物に『Z・A』らしさを出して行きたい」と言う事で、 本番当日観客の目に必ず止まる物として受付にも、『Z・A』らしさを表現する為、木田から

    「受付は美男美女で」

    というアバウトな注文が出される。
    何とか押尾学似のイケメンと小澤真珠似の美女をスカウト。
    ビジュアルを重視する木田の『Z・A』へのこだわりがここでも感じられる。

  • 脚本


    人生で初めて書いた脚本。SF もの。
    当時は「自分は天才だ!」と思った出来だったが、今見直してみるとものすごくお粗末。 しかし「ストーリー」「テーマ」を軸にした造りは現在も脚本を書く上で基盤となっている。
    元ネタは「Pierrot」の楽曲「CREATURE」(シングル「- CREATURES -」に収録)のPV と、キリトのインタビューに影響を受けた事である。 基本的に綺麗事が嫌いなので結末はすっきりしない終わり方にした。綺麗事で登場人物の考え方を無理矢理捻じ曲げたくなかったので。

    登場人物はゼラ、マリー、ルター、レイザ、そしてクリーチャーと呼ばれる「怪物」の4人+α。
    また「Creature」のストーリー性は「D」に、テーマ性は「Beautiful Beast」へ色濃く残っている。

  • 演出


    ● Cast ...

    自分の演出方法に完璧な自信が無かった為と「やりたい事をやる」為に、自分に共感してくれそうな若い役者だけを集めた。
    「STAGE SPIRITS」時代に自分で連れて来た小椋悠介と橋本大亮。同じく「STAGE SPIRITS」で第一回公演から共に同じ舞台に立ってきた田中美穂。 この3人に関しては脚本のイメージとすぐに重なり出演依頼をした。残る一人、平井智大については以前共演した事はあるものの、当初誘うつもりは無かった。 当時「こいつの考え方は俺と合わない」と思っていた為。
    しかし、とある機会に食事をしていた時、芝居の話をして「お、こいつ少し変わった」と思い、オファー。ゼラに小椋、マリーに田中、ルターに平井、レイザに橋本をあてる。



    ● Staff ...

    Cast同様、若いスタッフを集めた。
    基本的にプランは自分で立てた。そのせいか、音響・照明に関しては現在の『Z・A』の基盤となるスタッフワークが見られる。



    ● 劇中:クリーチャーという存在 ...

    この頃は「演出家」よりも「役者」に近い考え方でいたので全体の世界観や 風景、流れの見せ方、芸術的描写等より役者に演技を重視していた。その 為、観客を「Creature」と言う世界に引き込みきれなかった印象が強い。
    また、自分の「表現」のルーツが音楽にある為か雰囲気作りを音響に頼るシーンが目立つ。

    劇中で挑戦したと言えるのは「クリーチャー」と呼ばれる異形の怪物の登場 シーンと、ラストシーンで雪を降らせるシーンだと思う。 「クリーチャー」の登場シーンに関しては上に書いた様に音響に頼った感が 強いが、その頃の自分の引き出しには無かった「視覚的に観客に恐怖を与え る事」に挑戦。
    ストーリーの不気味さや、キャラのキモさ等で観客に恐怖を与える舞台は観た事はあったが、一目見ただけで観客に恐怖を与える舞台は観た事が無かった為。
    暗闇の中、腕だけが現れゼラを吹き飛ばし、それと同時にピンスポットが舞台上で動き回り、しばらくしてゆっくりとピンが「クリーチャー」に近付き姿を観客の前へ、 醜い姿を現す事で映画やドラマでカメラワークを利用し少しづつ姿を現す手法を舞台で表現した。(映画やドラマのカメラワークについては詳しく知らないので不適切かもしれません)

    また、このシーンでは暴走した研究所を表現するためドライアイスを使用。



    ● ラストシーン ...

    ラストシーンの雪については、脚本を書き始めた時から構想があったが、通常用いられる銀紙や紙を用いた演出ではラストシーンで思い描いたような優しく柔らかい雪を表現しづらいと思い、 当時「Dir en grey」がLIVE で用いていた、羽を降らせるという手法を真似る。
    これにより、ただ美しいだけではない雪を表現出来たのではないかと思う。しかし全体的には未熟な演出だったと思う。


    常々再演したいとは思っているが、再演するとしたら脚本から全て考え直し、上演してみたい作品の一つである。

  • 音響


    この頃はまだ、正式なメンバーではなくお手伝いさん的な参加だったので、音響プランはほぼ全て演出からの指示によるもの。
    旗揚げ当初からヴィジュアルロックを音響に使用するスタイルは変わっておらず、「Visual Rock Entertainment Stage」を提唱する現在に至るまで 主宰・木田がZ・A で表現していくものは一貫された信念と言っても 過言ではないのかも知れない。



    ★ 客入れ

    『 デイライト』という映画のワンシーンを、音声のみで使用。
    「会場に足を踏入れた瞬間から公演は始まっている」という主宰の考え方に沿い、作品の世界観を表現するために実験的に使ってみる。

    開演5 分前からは、もはやZ・A 本公演の定番ともなっている、『G.D.S.』(Dir en grey「朔~ Saku ~」収録) でオープニングへ。
    「非日常への招待」という役割はこの曲が果たしてくれるので、 現在では、客入れには公演をイメージした音楽を使用し、 開演直前に『G.D.S.』で引き 込む、という流れになっている。
    この曲がZ・A の世界観を表現するのに一役買っている事は、本公演を観れば明らかだと思われる。



    ★ 主な使用楽曲

    『闇に降る奇跡』   …D'espairs Ray
    クライマックスで使用。

    もともと脚本を書く段階でイメージが決まっていたようで、曲名・歌詞とリンクしたセリフや内容がちらほら見られる。
    主宰・木田は当時、白黒の雑誌記事でこのバンドを知り、直感的に「このバンドには何かあるな」と感じたのだそう。

    現在、D'espairs Ray はヨーロッパ・アメリカを中心に海外で非常に高い評価を受け、日本を代表するヴィジュアル系バンドに名を連ねている。

    … D'espairs Ray official site


    『JESSICA』   …Dir en grey
    カーテンコールで使用。
    旗揚げ公演ということもあり、与えるイメージを軽くしつつも、「Z・A」として曲げない部分を表現するという意味合いでこの楽曲で公演を閉めることになった。
    Dir en grey は主宰・木田が最もリスペクトしているバンドであり、また、海外からの評価が非常に高いことでも有名。

    … DIR EN GREY official site



    ★ 設備

    特別な機材等は使用せず、アイセル21ホールの設備のみ。
    音源は備え付けのCD・MD がそれぞれ一台づつ。
    スピーカーもホールの上部のスピーカーを使用。

  • 照明


    当時照明に関する知識に秀でた人材がおらず、高校演劇とさほど変わらな いクオリティの物だったと思われる。

    オペレーターは粥川あやか(当時参加者のちに入団)だったが、照明プランに関しては現在のZ・Aのスタイル同様、演出木田がプラン立てから携わっている。また、 「Work演出」にも記されている様に、ピンスポットを今まで自分達が試した事の無い形で活用。 「全てのスタッフワークが主役になる場面を」と言うコンセプトを立ち上げから掲げていた事を現実の物とする姿勢を見せる。

    しかし全体的にはありきたりな照明を使いまわし、理論や理屈での照明プラン、照明作りを出来なかった為、照明に関しては満足のいく作品とはならなかった。

  • 衣装


    当時は現在Z・A の衣装・メイクを担当している木村美佳がまだ在籍していなかったので、パンフレットにも衣装・メイクのクレジットは無い。
    Z・A を立ち上げた時から演出木田に「ヴィジュアルにこだわった舞台を」と言う考えがあったのでZ・A 旗揚げ公演となる「CREATURE」もヴィジュアルにこだわる・・・はずだったのだが、 当時資金不足及び人材不足の為、脚本では近未来(SF)と言う設定でありながらも自分達の私服を持ち寄りコーディネイト。今のZ・A のウリの一つである衣装を使い視覚的な刺激 を観客に楽しんでもらうという事は実現出来ていなかった。

    ちなみに演出木田が特に力を入れたかった役レイザは「白いコートを着せたい」と言う希望もあったがお手頃な価格で手に入る物が無かった事と、一 人だけそんな派手にしても逆に安く見えてしまうのではないかという事で、これも実現出来ず。

    しかし、作品のタイトルにもなっている「クリーチャー」と呼ばれる役(役者非公開)は当時のプランを実現させた。衣装は上半身裸で下半身に革パン と言うシンプルな物だったが、メイクとプラス@についてはZ・A が今でもテーマに掲げている「観客に今まで見たことの無い物を」に沿った物と なった。「怪物」をモチーフにした「クリーチャー」はその右腕に人間の腕よりも更に大きい腕を装着し、顔には焼け爛れたメイクを施した。
    腕のモチーフはDir en grey「 OBSCURE」(『VULGAR』収録)のPV のボーカル京さんがモデルになっているらしい(演出木田談)


    顔のメイクは、ヴィジュアル系を専門で取り上げている雑誌「Cure」(当時エイジア出版・現エイジアハウス)のメイク術を紹介しているコーナーを参考にし、 役者の顔、上半身にオブラートを貼り、その上からメイクをすると言う方法で火傷を再現した。
    この「怪物」クリーチャーの存在が観客にZ・Aの舞台はダークと言うイメージを与えた大きな要因になったと考えられる。 ちなみに本公演でメイクを担当したのはパンフレットやDiscography には記載されていないが、 当時音響を担当していた木村美枝、現在の衣装・メイクの木村美佳の姉である。

    現在のZ・Aの目指す「ヴィジュアル・ロックとの融合」はこの当時から木田の中でメイクの面ではヴィジョンが見えていたのではないかとうかがわれる。

  • 道具


    まだまだ「芝居の道具の作り方」を担当者が全く把握していなかった時期。当時すでに団員として活動していた川島吉尋、助っ人として参加していた 谷村光行(現Z・A 小道具)、参加者の竹内愛弥が担当。
    因みにパンフレットには『道具・仕掛け』とあるが、当時のZ・A ではドライアイスをスモークマシンの代わりに使用しており、45 リットルポリバケツ にホースを繋いで舞台袖からスモークを出したり、バトンに吊るした仕掛けから羽毛を降らせたりしていた事から。

    当の道具に関しては、舞台セットとして上面が開閉可能な黒い箱を作った以外はほぼ出来合いのモノ( 棚や銃等) を着色、といった簡単な作業が殆 ど。唯一「クリーチャー」と呼ばれる「怪物」の腕が、現在の『Z・A』としてのこだわりにも繋がるZ・A の世界観を表現する為の仕事だった様に思う。 その作り方は金網を腕の形に巻き、その上からシリコンやティッシュペーパーで肉付け、ペンキで着色し、グロテスクさを出す為ツヤ有りニスで仕上げ、 その上から包帯を巻いて完成。装着する役者の激しい動きで腕がすっぽ抜けない様に内側に取っ手を付け、装着者はそれを握る造りになっている。

    因みに『衣装』の項目でも触れている通り、腕のモチーフはDir en grey「OBSCURE」(VULGAR』収録)のPV のボーカル京さんがモデルになっているらしい(演出木田談)。

    ただ、今あらためて思い返すと、身体とのバランス( 作り物と生身との境界線という意味で) 等、未熟な仕事であると言わざるを得ない。

  • 制作


    ● チラシ ...

    主宰木田はチラシにこだわる事が多い。木田にとってチラシとは「お客さんが始めてその公演を味わうのがチラシである。 故にチラシは公演の一部だ。」。Z・A はその考えを重視し、チラシの制作には時間と労力をかける様にしている。 特に旗揚げ公演のチラシと言うのは、その劇団にとって初めて観客に自分達を表現するものになる。 その為、Z・A 初公演となる「Creature」ではZ・A のイメージ、そして作品のイメージ両方を多くの人に知ってもらう事を重視。

    とにかく他の劇団とは違うイメージを与えたかった、しかし旗揚げしたばかりのZ・A には技術も資金も無いと言うことで、モノクロでどれだけデザインするかに悩む。 結果、「Creature」作中で意味を持つ雪をイメージしたチラシを制作。真っ黒な中に白い点をいくつか描き雪に見せる、と言うデザインに落ち着く。 その為、デザインにおいて、当初予定されていたこだわりは表現できず、世に送り出す形となった。

    また、チラシは2種類作成。上記のデザインでは物足りなかった事もあり100部限定でカラーのチラシを作成した。 これは色んな人種の目の写真を集め、チラシ一面にそれを敷き詰めると言うデザインになった。こちらはZ・A のコンセプトや演劇界に向けたメッセージを前面に押し出すようなデザインとなった。
    また「Creature」公演のチラシのみ(2009 年現在)、観客に対するメッセージが英語で書かれている。何が書いてあるか知りたい方は、チラシを手に入れてみて欲しい。 ちなみにZ・A には数部だけ保管してある。デザインのアイデアは主宰の木田が担当、製作は川島が行った。



    ● チケット ...

    「Creature」は無料公演だった為、チケットの製作は行わなかった。


    ● パンフレット ...

    公演当日来場して頂いたお客様が一番始めに目にするのが受付、そして一番始めに手にするのがパンフレットである。 そして開場してから開演するまでにお客様を楽しませる役割を持つ物と言える。それだけに内容を充実させたいと思うのは当然である。 しかし、Z・Aは良い意味で観客と距離を置いた存在でありたいと言うコンセプトの為、良くアマチュア劇団が行っているパンフレットに出演者やスタッフからのメッセージ等は一切載せず、 演出のあいさつ・キャスト、スタッフ表・スポンサー欄・スペシャルサンクス欄・インフォメーションの最低限の情報だけ載せる様にしている。

    Z・Aがパンフレットにおいて重視している点の一つは「おしゃれ」。パンフレットはお客様が公演当日、実際に自宅に持って帰ることが出来る唯一の「物」である。 (物販などある場合は異なるが)それゆえ、お客様が自分の部屋に飾りたくなるような物を作りたいと言うコンセプトをパンフレットにはおいている。 「Creature」ではそのコンセプトを形にする為、パンフレットのデザインを役者「田中美穂」の知人であり、デザイナーの卵だった「Happy Design Company」に依頼。
    シンプルかつZ・Aらしく、おしゃれなパンフレット作りに臨む。アイデアは木田、製作は「Happy Design Company」。

    尚、このデザインについてはDiscographyで確認可能。